「危機の経営 ~ サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション」感想
来週、著者の一人であり、元サムスン電子常務の吉川良三さんの講演を聞く機会をもてそうなので読んでみたのですが、非常にためになりました。
粗悪な類似品を後発で市場に出すのみだったサムスン電子が、新興国を土台に急速に業績をのばすように変化していった過程を見ながら、日本に不足する点、復活のキーワードを提示するという内容です。読みやすい言葉で書かれていて、持ち運びもしやすいサイズなので、業務が多忙でもすきま時間で読み終えることができました。しかも内容は深い。現時点での2010年ベスト本です!
危機の経営 価格:1,470円(税込、送料別) |
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あらすじ:
サムスンは、90年代前半から会長を中心に「弱肉強食の時代になる」「ドラスティックな改革が必要」と変革に取り組んでいたそうです。その流れで吉川氏にも声がかかったそうです。
個人主義をやめ記録・引き継ぎの文化を作ろうとするなど、改革は進められてはいたものの、ほぼ機能していない状態だったようです。当時は、「サムスンの入社試験に落ちたから官僚になるか」と言われたほどの人気企業だったこともあり、必要性や主旨が浸透しなかったようです。
それを変えたのが、97年のアジア通貨危機=IMF危機でした。金大中政権の元、財閥解体が進められ現代、大宇グループが解体されると、サムスンの社員たちにも、危機感を越えた痛烈な危機意識=「自分は生き残れるのかどうか」が芽生えます。
それをきっかけに改革が一気に進み、サムスンは大躍進を遂げます。それを、
・組織と人のイノベーション
・プロセスのイノベーション
・製品のイノベーション
に分類して紹介しているのが本書です。
感想:
技術力というと、日本では物に対する力を連想し「いいものを作れば売れる」という発想をしがちですが、サムスンでは「技術=顧客が求めるものを提供する力」と位置付け、それを徹底したというのが象徴的だと思いました。
日本メーカーが、本当に消費者が必要とするのかわからない新機能を追加して自己満足にひたっている間、サムスンは進出を決めた新興国の言葉を社員に学ばせ、現地で自力で生活させ、文化を理解させた上で、必要とされている商品を開発・販売していきました。
英語を理解できることがグローバル化なのではなく、相手の国の生活・文化を理解してニーズをくみ取り、サービスを提供できることである、という発想には拍手を送りたいです。
トップが戦略をもって経営のかじ取りをする、グローバル化、顧客に対する技術力の向上、などなど、たくさんのヒントが提示されていますが、最も学ぶべきは、サムスンにおいてもトリガーとなった、危機意識をもって今後の時代を進もうという覚悟でしょう(危機感では不足)。
あとがきで紹介されている、
「卵の殻を自ら割れば生命をもった鳥になるが、他人が割れば目玉焼きにしかならない」
という言葉が強く印象に残りました。
講演が楽しみです。

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